ちびいえライフを楽しんでいます
建築士事務所「サオビ」の建築家である私、島崎は2009年に「ちびいえ」を建て家族で「ちびいえライフ」を楽しんでいます。実際に住んでみての感想と合わせて、「ちびいえライフ」についてお話ししたいと思います。
ちびいえライフについて
私は、「コンパクトに身の丈にあった暮らしを営むことが贅沢である」という価値観のもと、「ちびいえライフ」を始めました。最近では大きな外車ではなく、コンパクトで燃費のいい車が求められるようになっています。必ずしも大きいことや高価なことが豊かだとはいえなくなっていると思っています。
私の選んだ「ちびいえライフ」は、家族で肩を寄せ合って暮らす幸せを感じさせてくれます。家族がすぐそばにいるのはまさにリッチ。経済的・物質的な豊かさよりも、「心の豊かさ」に焦点をおいた生き方につながるのが「ちびいえライフ」だと考えています。
我が家について
大倉山の我が家は土地面積16坪、延べ床面積20坪、建築面積8坪のまさに「ちびいえ」です。外装にも内装にもさまざまな木材をふんだんに使い、時間とともに木の風合いが変化する家づくりを実現しました。
天井や窓
空間の質を上げるため、天井の高さに変化をつけ、寝室は寝るだけなので低く、リビングは開放感を大切にするため高めにしました。採光に大切な窓にも工夫を。天窓やリビングの窓に遊び心を加えて台形の窓を設置。家にいながら青空を見上げたり、月を愛でたりと自然を感じることができます。あえて低めの位置に設置した窓は、お隣の家の人との目線をずらす効果があります。
収納
収納を考え、造り付けの棚もいたるところに設置しました。扉や仕切りを取り付けないことで、収納の自由度が高まるようにしています。増設や移動もできるような部分もつくりました。
バルコニー
すき間をつくり風が入ってくるようにしてあるファサード(外観)。日よけにも雨よけにもなっています。そのため洗濯物を干していても雨に濡れず、風が入るので乾くようになっています。
その他
木をふんだんに使ったので、雨が降るといまだにいい匂いがします。晴れの日もお客様には木のいい匂いを感じていただいているようです(住んでいる私たちにはわかりませんが……)。
家全体が広くないので、光熱費が安く済み、掃除もしやすいのがうれしいです。実際住んでみると、ほかにもいろいろな工夫を思いつきます。家を建てたらそれがゴールではなく、これからも進化させていければいいと思っています。
大倉山の"ちびいえ"の暮らしぶり(住みはじめて6年)
住んで早6年。新築と共に愛娘が生まれ、妻と共に子育てと格闘しながら住んできました。 最近は狭小住宅の参考事例として検討されている皆さんをご案内することもありますが、生活感があってイメージしやすい、木の外壁が竣工当初に比べ、シルバーグレーになってきていて雰囲気が出ている、内部の木部も色が深くなり落ち着いた雰囲気などとご感想をいただいております。
妻・娘・私も日々の暮らしをこなすことが大変でなかなか家の良さを実感しているのかと言われるとなんとも言えませんが、当初から思っていた「小さい家は家族が近く感じられる」ということが第一に実現できたことのように思います。
どんな家でもそうですが、家が主役ではなく、そこで行われる生活や家族たちが主役。それらのことや人を引き立てる背景であるのが家であると思い、また実感した6年だったと思います。
我が家では5歳の娘のリクエストである室内ブランコやハンモックなどDIYで実現したり、保育園のお友達を読んで映画上映会をしたりして楽しんでいます。今や家中は娘が保育園で作った製作物や絵でいっぱい。かっこ良くはないけれど、とても楽しく、暖かい雰囲気で彩られています。
6年経つと壁が汚れてきたり、よく触る部分に手垢がついたり、娘が大胆に落書きしたアートワークが施されたり(設計した自分としては涙涙ですが・笑)と新築の時に比べるとくすんだ部分もありますが、高くても自然素材を取り入れたお陰でそれは経年変化として良き味に昇華していると妻ともども感じています。
今後は娘も大きくなり、プライベートなスペースも確保していかなければならなかったり、家族の成長と共に我がちびいえにも施したいことがあり、まだまだ成長していく家であると実感するこのごろです。狭小住宅での暮らしが不安の方は是非「ちびいえ」に遊びにいらしてください。ほっこりとすることうけあいです。